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種と旅と

22/o2/2o25

2/15~3/2まで、種と旅とに参加しています。

種と多様性について共に考え、それぞれの地の在来種や伝統料理を味わう祝祭「種と旅と」という企画は、先日お世話になった長崎のタネトの奥津さんが世話人をする、大きく、大切なものです。

お店をしていて、実はこれまでオーガニックなものや生産者さんなど、食材にこだわっていることを発信することになんとなく戸惑いがありました。手に入る限りで、ではありますがわたしの作るお菓子、母の作るお弁当には余計なものは入れず、安心して食べることのできるものを使ってお作りしています。なぜお伝えすることに戸惑いがあったか。それは、それがわたしにとって当たり前だし、みんなにとってもそうであってほしいという願いからでした。わざわざそこを伝えなくても、それが「ふつう」であってほしいと。

でも今回この企画に声をかけていただき、改めて考えてみました。そのわたしの価値観が、「当たり前」ではないからこうやっていろんな地域、立場の作り手が声をあげる機会を与えてもらったのだと。何事に対しても、それが「ふつう」であるにはそこに辿り着くまでに大きな動きを辛抱強く、長く続けてくれた人がいたからこそなんだと気づいたんです。

「安心」な食べものには、オーガニックなものはもちろんですが、顔が見えることが大切だと感じています。食材の生産者さんの顔が見え、そしてお菓子を作っている人の顔がそれを食べる人に見える。一昔前は、野菜は八百屋さん、豆腐は豆腐屋さん、お肉はお肉屋さんでそれぞれを買っていた食材も今はスーパーやインターネットで気楽に変えてしまうこの時代。伝統を残すことと発展して変わっていくこと、どちらも大事ですが食に関しては伝統の方が圧倒的に魅力的だし大切なことだと思います。

jingoroに来てくれるみなさんに、わたしのこの思いをお菓子を口に運んで気づいてもらえるよう、しっかりと食に向き合っていきます。

 

今回、種と旅と期間中は、うきはのお隣朝倉で作ったさとうきびを使ったお菓子をご用意しています。絞り薪の火で炊き上げ、精糖には約8時間を要す、効率化を求めず、手作業でしっかりと時間をかけて作られた黒砂糖は本当に美味しいのでその味を最大限に活かせるように向き合いました。

- 黒糖のバタークリームケーキ -

朝倉で江戸時代より受け継がれた製法で作る三奈木の黒砂糖とうきはの野上さんの小麦を使った、黒砂糖のバタークリームケーキです。少し癖のある黒砂糖を、これまた少し癖のある小麦と合わせて包容力のあるこっくりバタークリームと合わせました。

お弁当も期間中はこの地域に根ざしたものをいつもよりたくさん使ってお作りしています。お楽しみくださいね。